優しさ

この仕事(介護)をしていると、頑張っているつもりでも

空回りばかりしていることがある、と感じることがあります。

 

人と関わる仕事であり、こちらの思う通りにいくはずもないのに、

力が入ってしまい、結果うまくいかないことばかり。

この利用者さんで大丈夫だったことが、他の方では全然ダメであったり。

経験値など何の役にも立たないと、何度も壁にぶち当たりました。

 

「だめだ。向いていない、、」

この仕事を始めた頃は、いつも思っていました。

 

もう10年程前のことですが、夜勤前にミスをおこして落ち込んでいた私を

ある利用者さんが手招きします。

凛とした、、という言葉がピッタリな品のある女性の利用者さんでした。

「今日の夜勤さんは誰?」

落ち込んでいた私は

「残念ながら私です。すみません。」

と答えました。

その方は、慢性の疾患があり、不安定な体調を抱えられていたこともあり、

もっとベテランのしっかりとしたスタッフの方がいいに決まっている、

そのような思いもあって出た言葉でもありました。

 

でもその方は、私の手を握り、

 

「良かったわ。あなたがいいのよ。」

 

と微笑まれました。

 

張り詰めた気持ちがゆっくりとほどけていくようでした。

 

もちろん社交辞令であったと思います。

周囲にいる人に、いつも優しい言葉をかけられる人でした。

 

でも、、

そういえば、、

あの時、失敗をした私を見ていた。

そんな私を、

 

それでもいい。あなたがいい、

 

そんな風に言って下さった。

それは、私を大事に思って言ってくださった言葉と

自然に感じたのでした。

 

人は大事にしてもらっていると感じると

いくつになっても嬉しいものだと、

思えた出来事でもありました。

この仕事は時に、報われない思いで一杯になることもあります。

ご利用者の方に良かれと思ったことが、思いに反してしまったり。

人の心は見えませんから、本当は違うのかもしれないけど

ネガティブに捉えてしまい、勝手に自分が落ち込んでしまう。

 

だからこそ、「あなたが、いいのよ。」という

この言葉は、10年経っても私を支えているのです。

 

あれから、経験は何の強みにもならないと

思うことはありますが

「あなたがいい」

そう思ってもらえる支援をしていきたいと

いつも思っています。

 

そして自分からも「あなたが大事」という

メッセージを伝えられる人になりたいとの

思いを持ちながら、日々の業務に邁進しています。

 

川内 B棟  山本直美

 

 

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コメント: 2
  • #1

    社長 (月曜日, 23 8月 2021 13:50)

    仕事を通じて、互いの心が通じ合って、本音で喜べることは、すばらしいことです。
    それが本人を成長させ、幸せにつながります。
    仕事には苦労がつきものです。
    どんな時も心を平穏に、自分をコントロ-ルして、皆のお手本として頑張ってください。

  • #2

    山本 (金曜日, 27 8月 2021 19:49)

    社長からの「仕事には苦労がつきもの」という言葉がとても心に響きました。
    これからも仕事に向き合い、少しでも成長していければと思います。